小泉進次郎新農水相が推し進める「コメ民営化」問題と“JAマネー”の闇
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今週の注目記事・1「進次郎コメ大臣を阻むJA伏魔殿」(『週刊文春』6/12日号)「大安売りの『進次郎米』即完売で大混乱」(『週刊新潮』6/12日号)
同・2「白鵬が森山自民幹事長から参院選出馬を打診されていた!」(『週刊文春』6/12日号)「さらば相撲協会 白鵬が豊田章男トヨタ自動車会長に支援してほしい新事業の中身」(『週刊新潮』6/12日号)
同・3「追悼 長嶋茂雄『不滅の伝説』と『一茂との愛憎』」(『週刊文春』6/12日号)「長嶋茂雄死す(享年89)大谷翔平に託した野球界の未来」(『週刊新潮』6/12日号)
同・4「ハーバード大生50人に訊いたトランプへの怒り」(『週刊文春』6/12日号)
同・5「渡邊渚独占手記『私は性暴力を絶対に許さない』(『週刊ポスト』6/20日号)
同・6「プーチンを電撃訪問 安倍昭恵さんに『駐米大使説』が流れた事情」(『週刊新潮』6/12日号)
同・7「第4回 全国お天気キャスター総選挙 一昨年7位から頂点へ!新女王はL.A.育ち フジテレビ8代目朝のお姉さん」(『FLASH』6/17日号)
同・8「悠仁さま 近づく成年式でも子離れできない紀子妃の煩悶」(『週刊新潮』6/12日号)
同・9「末續慎吾 100mを全速力で走り続ける45歳『ケガしても10秒82.そこに可能性がある』」(『FRIDAY』6/20日号)
6月3日に亡くなった長嶋茂雄ショックで、今週は毎日ボー然としていた。
89歳で、脳梗塞の後遺症を抱えているのだから、いつ亡くなっても不思議はなかったのだが、長嶋に限っては「不死鳥」だと思っていたから、訃報を聞いたときは信じられなかった。
昭和100年の節目の年。亡くなったのは3日。3333長嶋さんという言葉があったように、巨人軍時代の背番号3は永久欠番。
私たち「団塊の世代」にとって、長嶋は青春そのものだった。長嶋が打てば自分が打ったかのように喜び、打てなければ我がことのごとく落ち込んだ。
しかし、長嶋の凄さは2004年に脳梗塞で倒れてからである。その過酷なリハビリをこなす長嶋の姿が何度かテレビで流れた。何としてでももう一度表舞台に立つ。
グラウンドで見せた不屈の精神は、体が不自由になろうと萎えることはなかった。長嶋は多くの体の不具合を抱える高齢者たちに勇気を与える希望の星になったのである。
と、長嶋についての話になれば、この欄のすべてを使っても書ききれないが、それについては後でまた触れるとしよう。
最初は、長嶋ほどではないが“中年の星”である末續慎吾の話をFRIDAYから。末續は2008年の北京五輪の男子200メートルで3位になった日本屈指のスプリンターである。少し競技を離れた時期があったそうだが、それから17年経ち、45になっても現役にこだわって練習を続けているというのである。
今年11月に行われる世界陸上への挑戦も口にしている。5月17日には、自身が主催する「アースグランプリ」に出て、10秒82で走ったそうだ。それも左足の外反母趾に苦しめられてだという。
末續が2003年に出した200メートルの日本記録は、未だに破られていない。
世界に挑むと公言することは、言葉でいい尽くせない厳しい練習があることは、私でもわかる。なぜ、「不可能」とも見える無謀な挑戦を続けるのか。末續はこう話している。
「この年齢で走っていることの『?』をなくしたいというか、その価値観を壊したい。本来、“走ること”は楽しいはずなのに、日本人は真面目だから“結果を出さねばならない”という義務感が出て、かしこまり過ぎてしまう。そうした日本が抱えるスポーツの暗部に本気で向き合ってみようかなと思った部分もあります」
末續は世界陸上や北京五輪でメダルを取った後、「アスリートとしてのキャリアを肯定してもらえるような言葉をかけてもらった記憶もない」という。
そんな状況を受け止めきれずに、手が震え車に乗れなくなってしまって、このまま死んでしまうのではないかと思い詰めたこともあったそうだ。
わかる気がする。日本では野球やサッカーなどのスター選手はちやほやするが、陸上競技者に対するリスペクトが少ない。
その上、メダルに見合う報酬も、花形スポーツに比べればはるかに少ない。同じ、いや、もっと命を削るような努力をしてメダルを取っても、すぐに忘れられてしまう。末續はこういう。
「メダルを取ったことはもちろん誇りですが、生きずらくなってしまった。いまは、結果は二の次というか、誰に何を言われても構わないし、この挑戦を楽しみたい気持ちが強い」
しかし、現実は厳しい。6月8日の関西実業団選手権最終日、男子100メートルのオープンに末續が出場したが、11秒08で7着となった。レース後、末續は涙を流したそうだ。だが、結果ではない。いくつになっても夢に挑戦し続ける心が尊いのだ。長嶋茂雄がそのことを教えてくれている。がんばれ末續!
お次は新潮から。小室圭と眞子さん夫婦に子どもが生まれても、秋篠宮との“和解”はまだまだ先のことになりそうだ。
女性セブンの報道から10日も経ってから宮内庁は、「出産した」ことは認めたが、いつ生まれたのか、男の子か女の子かということは一切発表しなかった。それは秋篠宮がそうしろといったのであろう。
だが、女親はどうか? 初孫を早く抱きしめたいと思うのは紀子妃とても同じだろう。だが、秋篠宮にいい出すことなどできはしない。
そんな屈託を抱えている紀子妃は、職員たちにつらく当たっているのではないか。しかし、新潮によれば、そんな母親と長男の悠仁さんとの「距離」も離れつつあるというのである。
秋篠宮家では9月の悠仁さんの「成年式」に向けての作業が進められているようだが、「先日は、職員が言いつけとは異なる動きをとったため、紀子さまが厳しいお言葉を投げ掛けられる一幕がありました」(秋篠宮家の事情を知る関係者)
すると、
「そこに悠仁さまが居合わせておられました。ご自身にまつわる件で職員が母親から苛烈な指導を受けている場面を目の当たりにされた悠仁さまは、紀子さまに向かって『それはおかしい。お母さまが間違っていますよ』などと、整然と進言なさったのです。職員は難を逃れ、紀子さまはその場で反論できず、口をつぐんでしまわれました」
そのほかにも、報道陣の前で、悠仁さんが紀子さんをあからさまに避けるような素振りをしたことが、何度かあったそうだ。先の関係者はこう話す。
「将来のお世継ぎであられる悠仁さまをしっかりお育てして国民の期待に応えたい。その一心でご長男と向き合われ、何くれとなく世話を焼かれる紀子さまのお姿に、悠仁さまは辟易なさっているご様子もうかがえます」
悠仁さんは大学1年生だから、遅い反抗期というもので、父親や母親が煙たくなる年ごろなのであろう。だが、長女の眞子さんとは意思疎通ができず、次女の佳子さんともあまりやりとりがないといわれる秋篠宮家。これで長男にもそっぽを向かれたら紀子さんとしてはやりきれない思いだろう。
愛子天皇待望論が盛り上がりを見せる中、秋篠宮家はまだ嵐の中にいるようだ。
FLASHは第4回お天気キャスター総選挙という特集を組んでいる。
これはFLASHが独自で行ったのではなく、大手広告代理店がやっているそうだ。この調査は、今年4月以降で、お天気キャスターとして担当番組を持ち、「現役」であることを条件に選出しているそうだが、選出の条件は「局アナではない」「気象予報士の資格は必須ではない」「活動の主軸がお天気キャスターである」というものだという。
アンケートの規模は、全国のそれぞれ男女14~18歳1000人、19~34歳1500人、35~49歳1500人、50歳以上1500人の合計5500人というから、相当大規模な調査のようだ。
その結果、20位までにZ世代のお天気キャスター6人が初ランクインしたという。
堂々1位に輝いたのは『めざましテレビ』お天気キャスターの林佑香だという。「一昨年7位→昨年2位と順位を上げ、10~30代の支持を得た。9歳までアメリカ・ロサンゼルスで過ごした帰国子女で、天達武史気象予報士とのコーナーでは抜群の英語力を発揮している。番組でいちばん印象に残っていることを聞くと、笑顔でこう話す。
「カリフォルニアのディズニーランドで開催された『ピクサー・フェスト』(2024年)というイベントに取材に行かせていただいたことです。小さいころから自分が大好きだった場所に行き、好きな乗り物などを紹介できたことは、ずっと心に残ると思います」
毎回、番組内で6回登場して天気予報を伝える彼女だが、視聴者からも『朝は時計代わりに林さんの顔を見るのが習慣』(以下、「」は視聴者の声)と親しまれているようだ」
昨年の1位から2位に順位を落としたのが久保井朝美。一昨年も2位と安定した人気を誇り、30代後半からの支持が高いそうだ。
「3位の駒木結衣も昨年4位、一昨年3位と上位の常連だ。ウェザーニューズの同期だった檜山沙耶が番組を去り、エース的存在に。『檜山さんより駒木派だったから今の活躍は嬉しい限り』と喜びの声も。
4位の今井春花は、昨年26位からのジャンプアップ。『グラビアは衝撃的なかわいさで天気予報もキュートです』と、漫画誌でグラビアを披露したことも得票に繋がったようだ。
昨年のランク外から5位に入ったのは小林李衣奈。『メンバーが活性化しているウェザーニュースの次の推し』と、番組に多くのコアファンがいる『ウェザーニュースLiVE』のなかでも支持を伸ばしている」
私が密に贔屓にしている『ニュース7』の晴山紋音は6位か。慶應大学3年次に気象予報士に合格した本格派だそうだ。晴山というのがいい。彼女が予報すると、雨でもスカッとしてくるから不思議だ。
7位は山岸愛梨、8位は中川絵美里、9位には『おはよう日本』出演も5年めとなる近藤奈央、10位には防災士の資格を持つ中西花が入った。
人気投票もいいが、お天気キャスターたちに望みたいのは、もっと正確な予報をしてほしいということだ。当たってこその天気予報キャスターだろ。それに、顔は違ってもいうことは皆同じ。時には気象庁が明日は晴れだといっているけど、私は明日は雨が降ると思いますなどと“反旗”を翻すのはいないのかね。皆同じなら、天気予報士は一人でいいと思うのだが。
さて、故・安倍晋三元総理の妻の昭恵(62)が、石破をそっちのけで、トランプやプーチンと会談して、世界から注目を集めている。
“安倍の威光”だといってしまえばそれまでだが、特に、プーチンの昭恵の処遇は、まさに下にも置かないもてなしで、改めて昭恵の「外交力」に舌を巻いた。
昭恵がプーチンと会ったのは5月29日。面会で、プーチンが安倍の思い出を語り、昭恵が涙ぐんでいる映像が流れた。
「面会後、プーチン氏は大統領専用車を貸し出し、バレエ鑑賞のために昭恵さんをボリショイ劇場まで送り届ける異例の歓待ぶりを見せた」(新潮)
この行動は、ロシアとの強いコネクションを持つ鈴木宗男参院議員も知らず、もちろんメディアも寝耳に水だった。在ロシア大使館も関与していなかったというのである。
だが、彼女の極秘アテンドをした人物は、薗浦健太郎元衆院議員だということは判明しているそうだ。薗浦はトランプの時も同席していたといわれる。
薗浦は麻生太郎が総務相だった時代に秘書を務め、麻生派内では“重鎮”といわれているそうだ。
だが薗浦はプーチンとのパイプはないそうだ。そのため麻生が一肌脱いだのではないかといわれているようだ。
そんな大物とのパイプがある昭恵を「駐米大使」にしてはどうかという声が、麻生派内で上がっているというのである。
実現性はないのだろうが、まだまだ安倍の敷いたプーチンのロシアやトランプのアメリカとのパイプが生きているのなら、彼女を使わない手はないだろう。
しかし、昭恵はなぜ今ごろ、両首脳と会う行動に出たのだろう。もしかすると、彼女は参院選に出馬するのでは? そうも思いたくなる安倍昭恵の大胆行動ではある。
ところで、元フジテレビのアナウンサーだった渡邊渚(28)という女性は不思議な人である。
「ある事件」が起こって体調不良を発症して休業。その翌年にフジを退社したが、その後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられているそうである。
今年2月には、自分の体験を赤裸々に著わした『透明を満たす』(講談社刊)を上梓し、ベストセラーになり注目を集めた。
ポストによれば、そんな渡邊が怒りを感じているのが「性暴力」についてだというのである。
フジの女子アナを家に呼び、「性暴力」をふるったといわれているのが中居正広である。名指しはしていないが、今回のポストに寄せた文章も、中居問題が前提としてあるのは間違いないのだろう。
今や「性暴力」に対する怒りを露わにする渡邊は、そうした被害に遭った女性たちの“守護神”のようである。
彼女は手記の中でこういっている。
「今年ももう上半期が終わろうとしている。この半年も様々な事件や話題があったが、中でも“性暴力”に関するニュースを目にする機会が多かった。
大阪地検元検事正の性的暴行、映画監督の『主文以外はあとがき感想文』発言、性的暴行で逮捕されのちに不起訴処分になったスポーツ選手の日本代表復帰、一般の性暴力事件も毎日のように報じられた。
こういった事案を聞くたびに、私もPTSDを患っているから、トラウマを抱える被害者たちの気持ちや状況が生々しく理解できて、心が締め付けられる。
加害者にとっては『たった一度、この人だけ失敗した』なんて思うのかもしれないが、被害者はそのたった一回で、たった一度の大事な人生をぶち壊される」
彼女が実体験した「ある事件」がどのようなものかは知らないが、性的暴力を受けた女性が、時には相手に感謝をほのめかす言葉を発することもあるといっている。
「2022年、NHKが性被害について3万8383件のアンケートを行った。それによると、被害時の気持ちや思考について、『自分に行われていることが何かよくわからない状態だった』『どう反応すればよいのかわからなかった』『頭が真っ白になった』『殺されると思った』『相手が自分より上の立場だったので断れなかった』という回答が目立った。
性被害に遭った時、抵抗できないだけでなく、加害者に合わせたり、感謝をほのめかすなどの言動をすることも珍しくない。これは大きな危険に直面した時、生き延びるための神経系の自然な反応だと言われている。死を覚悟するほどの恐怖を自分の身体一つで受け入れるしかない状況で、生きてその場から出ることが最重要事項になり、防衛のためにそういった行動に出るのだ。
そんな状況から生きながらえたとしても、恐怖や恥辱感でいっぱいで、その後の気持ちや思考にも影響が出る。アンケートによると、気分が落ち込むだけでなく、『汚れてしまった』『自分に価値がない』『将来のことを考えられない』『生きている実感や現実感がない』と感じる人も多く、自傷行為をした、また自傷行為をしたいと思った人の割合が合わせて20%を超えている。
さらに、人との付き合い方もわからなくなる。自分は他の人と違ってしまったと感じて、人と親しくなったり恋愛したりすることが難しく思えたりする。
また、同意がある状態でも性的な行為に嫌悪感や忌避感が生まれ、恋愛や結婚について希望を
持つことがなくなる人の割合も高く、逆に性行為のハードルが著しく低くなる人もいる」
性被害を受けた女性の心理をよく研究しているようだ。さらに、
「たとえ身体的な傷が治ったとしても、心の傷が全て癒えることはないし、脳が記憶としてずっとトラウマを保持し続ける。もう元の自分はいない。生きれば生きるほどトラウマと向き合う時間が増えて、性被害は被害者にだけ、まるで終身刑のように一生苦しみを与え続けるのだ」
渡邊は、現代は性的加害者に甘い社会だと批判する。
「性暴力は、被害者に大きな傷を負わせ、生きる気力も奪ったのに、加害者の大半が罰せられずのうのうとしていられる歪な犯罪だ。捕まってないから、不起訴だから、無実ではない。地獄のような経験をさせて人生を壊し、被害者の将来を歪めた事実は変わらない。被害者の落ち度を血眼で探し、性暴力の定義を歪めてまで加害者を許そうとする社会に、いい加減終止符を打つべきだ。
性暴力は魂の殺人とも言われる。そう、殺人なのだ。だから“あらゆる性暴力(殺人)は許さない”という当たり前を公言する大人が増えることを切に願う。安全に過ごせて被害者が生まれない未来を作るために、私たちは声を上げ続けなければならない」
まさに魂の叫びである。彼女自身が受けた体と心の傷がどれほど深かったのかが、この文章を通して読み手に伝わってくる。
中居正広や、自社の女子アナをタレントの接待要員として使っていたフジの編成幹部に読ませてやりたいものである。
ところで、アメリカというよりも世界を代表するハーバード大学が、トランプ大統領の理不尽な“攻撃”に晒され、揺れている。
文春は、ハーバードの学内で50人の学生たちに「本音」を聞いて回った。そこで見えてきたものとは何か?
「パレスチナ自治区のガザに対するイスラエルの攻撃をきっかけに、アメリカ国内の大学ではイスラエルへの抗議活動が活発化。一連のデモなどを“反ユダヤ的”と見るトランプ大統領は、大学当局が適切な対応をとっていないとして、
「学術プログラムや職員の採用慣行の見直し、DEI(多様性・公平性・包摂性)イニシアチブの完全撤廃など、アメリカ人優先、外国人排斥的な政権の保守的な政策を受け入れるよう要求しています。従わない大学に対しては政府からの助成金停止をちらつかせており、実際にこの圧力に屈してこれまでの学風を一変させた大学もあります」(在米ジャーナリスト)
だが、アメリカ一の名門大学であるハーバードは大統領の要求を撥ねつけたことで、トランプ政権との全面対決に突入する。
「トランプ大統領のハーバードへの攻撃はすさまじい。すでに数千億円規模の政府助成金は停止され、5月22日には、ハーバードの留学生受け入れ資格取り消しの措置が発表されました。これにより在学中の留学生は、他大学に転籍などの選択をしなければ米国での滞在資格を失うことになります。23日には連邦地裁が政府のこの措置を一時差し止めする判断を下し、最悪の事態は免れましたが、予断を許さない状況です」(外信部記者)
では、学生たちはこの事態をどう思っているのだろうか。
「トランプの措置は、馬鹿げているし、非愛国的です。大統領は無能な独裁者だ」(心理学と経済学を専攻する学部2年生のウィリアム・フー氏)
「政権はファシストがやるであろうことを忠実になぞっているようにみえる」(ガバナンス専攻の大学院生ルーカス・アトキンス氏)
「自分よりも遥かに大きい権力と対峙し、無力感がある」(ケネディスクール卒、コマラ・アヌピンディ氏)
「とても合理的な判断ではない。民主主義国家でこんなことが起きるんだと驚いています。アメリカ政治への見方がまるっきり変わった」(ケネディスクール卒、日本人のミカコ氏〈仮名〉)
アメリカの憲法修正第1条は、表現の自由や報道の自由を保障しているが、ロースクールの学生たちは、「トランプ政権は憲法を侵害している」と口をそろえているようだ。
トランプは熱烈なイスラエル支持者だ。もっとも、アメリカ経済そのものがユダヤ人に牛耳られているのが現実だ。
当事者であるユダヤ系のジョシュア氏(ロースクール卒、欧州出身)は、「反ユダヤ主義は、ハーバードや他大学に限らず、どこにでも存在する」と語る。
「自分を含め、反ユダヤ的な思想を持たない全ての留学生が大変な思いをしている。トランプ政権の本当の目的は、リベラルな高等教育機関への攻撃にあり、反ユダヤ主義を許さないというのはただの口実にすぎないのでは」
だが、トランプによる、最大50億ドル(約7100億円)の助成金停止は、研究へのダイレクトなダメージになりうる。
博士課程で物理学を研究するスペイン国籍のパブロ氏はすでに大打撃を受けたと話す。
「僕が携わっているリサーチの多くが、連邦政府が拠出する資金に頼っています。すでに複数のプロジェクトが止まりました」
社会科学分野も影響は免れそうにない。経済学を研究する博士課程5年のリンジー・キャリエール氏が曇った表情で明かす。
「5月14日には、アメリカ国立科学財団からの奨学金が打ち切られました」
今後の研究資金については大学に問い合わせ中だというが、見通しは暗いというのである。
学問の自由を守り、トランプ大統領への怒りを示したい――デモに参加する理由も意思もあるが、当局への恐怖がそれを阻んでいるという。
「インドからの移民の両親には『デモには参加しないで』と言われて育てられてきました。私は『憲法に守られるから大丈夫』と、両親の心配を杞憂扱いしてきたのですが、留学生の国籍獲得のチャンスが失われる可能性がある現状を目の当たりにして、自分の考えのほうが間違っていたと思い始めています。私自身はアメリカ国籍ですが、それでも怖くて参加できない」(ロースクール卒、ヴァイシャリ・シャンドラリ氏)
アメリカは2001年に起きた9・11以降、友人たちと政治に関する話をすることもできなくなるほどの言論統制が行われた。だが、今また「反ユダヤ主義を許さない」というトランプ大統領によって、自由な言論が封殺され、多様な国から集まってくる優秀な人材がアメリカを去ってしまえば、アメリカには自国の愚鈍な人材だけが残り、国際社会から落ちこぼれていくことになりはしないか。
あと100年経って、トランプ大統領を恨んでももう遅いのだ。
次は、冒頭でも記した長嶋茂雄の死である。享年89。重度の脳梗塞を患っても、いつも穏やかな笑顔を絶やさなかったミスター。私は、彼に何度励まされたことだろう。高校3年の秋。健康診断で結核が見つかり、1年の“静養”がいい渡され、友人たちが皆受験勉強に励む中、私の楽しみはテレビで長嶋の野球を見ることと、親からもらった100円玉を握りしめてパチンコをやることだった。
大学はおろか、このまま社会へも出られないかもしれない。そんな不安を一時的にでも忘れさせてくれたのは、長嶋の躍動する姿だった。
私は父子二代の由緒正しい巨人ファンだった。
父は読売新聞の野球部(同好会のようなものではなかったか)で、時々、多摩川の巨人軍の練習場に小さかった私を連れて行った。そこで「背番号16」の川上哲治から、当時としては珍しいチョコレートやキャンディを山のようにもらったことで、私は熱烈な巨人ファンになった。
私が13歳の時に長嶋が立教大学から巨人に入団した。私たち野球少年はすぐ彼の虜になった。私が出版社に入ったばかりの1970年代初め、長嶋から先輩編集者に「〇〇さんいますか」と電話がかかってきた。たまたま出たのが私だった。すぐに長嶋だとわかり、思わず「長嶋さん、頑張ってください!」と大声で叫んで、編集部の顰蹙を買った。
1974年10月14日、長嶋茂雄の引退試合の日、私は後楽園球場のバックネット裏にいた。
社の持っている年間シートを取材だと偽って手に入れ、双眼鏡で長嶋だけを見つめていた。
引退試合は中日とのダブルヘッダーだった。1試合目が終わって突然、長嶋がダッグアウトを出て外野を歩き始めた。「やめないでくれ」という悲鳴のような声が沸きあがった。長嶋は手を振りながら泣いていた。私は双眼鏡が放せないほど涙が溢れた。後楽園球場が、日本中の野球ファンが「野球少年の死」(寺山修司)を惜しんだ。
2004年3月4日、長嶋は家で脳梗塞をおこし倒れた。家には誰もいなかった。運転手が発見したが、だいぶ時間が経っていたといわれた。別居していた妻はその3年後に亡くなった。享年64。
しかし、そこから長嶋の英雄伝説第二幕が始まる。麻痺が残り過酷なリハビリに励む姿が何度もテレビで流れた。翌年には東京ドームで野球観戦できるまでに回復した。今年3月、大谷翔平とも会っている。野球少年たちの夢を実現したスーパースターが、今度はハンデを持つ多くの高齢者たちを励ます“希望の星”になったのである。
今年は昭和100年だという。現役時代は数々の偉業を打ち立て、憧れの存在になった歌手や芸能人、スポーツ選手は数多くいただろうが、引退し、大きな病を得ても、その頑張る姿が日本人に勇気を与えてきた人間はほとんどいないだろう。
長嶋はそれをやったのけたのである。右半身が動かなくても、常に笑顔を浮かべ、少しもつれる舌で野球や人生を語る前向きな言葉は、我々高齢者を勇気づけた。
葬儀の時、娘の三奈がこういった。SponichAnnex(6/8(日) 16:00配信)より引用。
《「6月3日、朝6時過ぎに、病室におりまして、脈拍と血圧の数値が0になったんですが、よく見ると、波形が、ピッピッと山なりの波形が、ずっと続いているんです。看護師さんに“これ、どういうことなんですか”と聞きましたら、“監督が心臓を動かそう、動かそう、動かそうとしている振動なんだと思います。私、こんなの見たことありません”。看護師さん、主治医の先生方、最後まで驚いていました。最後まで長嶋茂雄を貫いた人生を送ったと思います」と最期を明かした。
「意識がなくなっても諦めず、そして、最後まで、俺は生きるんだ、諦めてないぞ、諦めてないよと。父の心臓の鼓動がそう発していると、私は思いました。父らしい、最期まで諦めない姿を見せてくれました」と語り、「父は、きっとこの後、天国でも日課としている散歩とトレーニングを続けると思いますので、晴れた日には、皆様どうぞ時々空を見上げて、父のことを思い出していただければと思います」と呼びかけた。》
長嶋茂雄のいない日本なんて……。寂しくなるな。
ところで、今日(6月9日)昼、大横綱だった白鵬(40)が引退についての説明会見を開いた。
八角相撲協会理事長の白鵬に対するいじめとも思える嫌がらせや、後輩の照ノ富士が伊勢ケ濱親方になり、その下では嫌だという思いが重なり、ついに堪忍袋の緒が切れたといわれていたが、会見では、そういったことへの「口撃」はなく、終始穏やかな表情だった。
会見には、前伊勢ケ浜親方で9日付で襲名した宮城野親方(元横綱旭富士)が同席するサプライズがあった。
退職するにあたって白鵬は「悔いはまったくない」といい切った。日刊スポーツネット版(6月9日12時10分)から引用する。
《宮城野親方は「このたびは白鵬翔が本日付をもって引退しました。これだけの実績、たくさん記録を持っています。こういう人がずっと協会にいてくれていれば、良い力士が出ると思っていた。本人の意志が固くて引き留めることができなくて、ファンのみなさまには申し訳なく思っています。本人も相撲が好きで愛していて、十分誇りに思っていると常々、聞いている。相撲を通じて社会貢献したい、相撲協会にも恩があるから応援していきたい気持ちがあった。外の方からやっていきたいとの意思を尊重した。ひきとめることができずに残念でなりません。相撲を通じて社会貢献したいと思いがある。ご指導を鞭撻(べんたつ)を切にお願い申し上げます」と支援を呼びかけた。
その上で「私も今日から宮城野親方になった。将来、(宮城野の)名跡をつげるものがでてきたら、いずれ宮城野部屋を復興させられるように尽力したい」と話した。
冒頭で発言を終えると、白鵬さんと握手とハグをかわして、退席した。
白鵬さんが師匠を務めていた宮城野部屋で昨年、弟子だった元前頭北青鵬の暴力が発覚。監督責任を問われて部屋は閉鎖、昨年4月に師弟で伊勢ケ浜部屋に転籍した。
横綱の先輩である宮城野親方の下で、部屋の運営などを学んでいた。
6月9日付の退職願が協会に提出されていた。》
以下は朝日新聞Digital(6月9日 12時20分)からの引用。
《「相撲に愛され、相撲を愛した25年だった。私白鵬翔は協会を退職し、新たな夢に向かって進み出すことを皆さんにお伝えします。今の自分が置かれた立場を考えると、協会の中ではなく外の立場から発展に尽くすことが良いと判断した」
「弟子たちへの愛情は変わらない」
今後の活動については、「日本のみならず、世界の人たちに多くの『世界相撲グラウンドスラム』で広めて参ります。相撲は神事でもあります。精神や肉体を鍛え、人々を導く道でもあります。いま世界にある差別や偏見を回収するための基本を届けることができると信じております。この理念をもとに『世界相撲グランドスラム』を実現してまいります」》
相撲協会との軋轢を乗り越え、次の大仕事へのやる気が、静かな中にも滾っている。「今に見ていろ」という覚悟が伝わってくる会見だった。
最後に白鵬が壇上から降りる際、記者から拍手があった。横綱在位中は、ぶちかまし、張り手など、横綱にあるまじき相撲と、横綱審議委員会から何度も注意されたが、白鵬はそれを改めることはなかった。
しかし、横綱に相応しい相撲を取って負けるよりも、自分の思う相撲を取り切ったからこそ、史上最多の45回という優勝を成し遂げることができたのだ。
世界グランドスラム構想を発表し、ここは株式会社になるという。トヨタ自動車の豊田章男会長は白鵬を贔屓にし、この構想も支援していくようだ。
新潮によれば、このグランドスラムというのは、
「これまでわんぱく相撲大会『白鵬杯』を開催してきましたが、まずは国際相撲連盟と連携する形で、子供だけでなく、男子、女子と階級別で世界一を争う大会を主催する意向です。将来そこに派生するビジネスにも手を広げたいと考えています」(協会関係者)
相撲を世界のスポーツに成長させ、オリンピックの正式種目にもしたいという夢を持っているといわれる。そう簡単ではないだろうが、相撲が持っている「真剣勝負」のぶつかり合いは、プロレスや異種格闘技と並んで、見る者を熱くさせるはずだ。白鵬に期待したい。
今週の最後の特集は、「コメの民営化」を進めるのではないかといわれる小泉進次郎農水相についての文春と新潮の記事。
鳥に食べさせる餌のような古古米を人間に食べさせるのかという批判さえあった「備蓄米の放出」だったが、5キロ2000円程度で手に入る安さもあって、入荷すれば長蛇の列ができ、あっという間に売り切れるスーパーが続出している。
味のほうも、食べた消費者の声は概ね「おいしい」と好評である。それだけコメの値段の高騰に、庶民は怒り、困っていたのである。
農水族や一部の識者たちが指摘していた、コシヒカリなどの銘柄米への影響はなく、コメの値段は二分化、三分化していくとのしたり顔が、おそらく醜くゆがんだだろうと思うのだが、備蓄米放出後に、銘柄米の下落が起きているのだ。
備蓄米の販売が全国各地に広がるなか、“銘柄米”の価格に変化の兆しがある。テレ朝NEWS(6/9(月) 13:07配信)はこう報じた。
《「内田米店」 内田幸男社長
「茨城コシヒカリの2等米が(60キロ)3万5000円。1日で4000円も下がっちゃうの? っていうのは、正直、こんな経験はあまりなかったです」
こちらのコメ販売店が購入しているのは、JAを通さずに卸売り業者同士が直接取引する“スポット取引”。その価格が急落しているという。
内田社長「3250円くらいで5キロ売れますね」》
小泉進次郎と石破茂の「やった!」という顔が見えるようだ。
文春は、JAと癒着してきて、小泉の進め方に異を唱えた野村哲郎元農相の収支報告書を精査したという。
《資金管理団体「彩燿会」は2100万円の寄附、政党支部「自民党鹿児島県参院第五支部」は80万円の寄附、4725万円のパーティ券購入を受けていたのだ。総額7000万円近い“JAマネー”が注入されていたことになる。
JAからの献金などについて野村氏に訊いた。
――小泉氏の手法に思うところがある?
「大手にだけ備蓄米を渡すって、離島なんかどうするのかね。そもそも備蓄米が届かない。もう少し詰めた議論をしてから発表してほしいという意味です。マスコミの皆さんが追いかけるから、彼もサービスしなきゃいけないと、『(党の)部会になんかかけない』と言ってるんだと思うけど」
――党の農林族は同意見?
「今度の選挙にマイナスにならせんか、と。少なくとも農林の森山先生のところの幹部の人たちぐらいには事前に話があればね」
――JAからの献金が多いが、意向を汲んでいる?
「そんなことないですよ。JAを贔屓にすれば、それこそ逆効果だもん。我々は色がついていると見られているわけですから」》
開き直りとしか見えない。だが、小泉のやり方に反発しているのはJAという“魔物”である。コメが足りない、高いと庶民が悲鳴を上げている時JAは、「3月に2回行われた備蓄米の競争入札では、JA全農が9割を落札。5月末の時点で卸売業者に引き渡されたのはそのうちの3割強で、消費の現場まで届いたのは2割程度に留まっています」(農水省担当記者)
落札、流通、金融のすべてを一手に握っているのがJAなのである。文春によれば、
《農水省のデータ(23年産米)によれば、全国で収穫されるコメの約93%を「集出荷業者」である各都道府県のJA農協が集荷。そこから全国団体であるJA全農へ出荷される。その後、「1次問屋」である米卸業者へと移るが、その多くもまた、JA系なのだ。
「全農パールライスをはじめ、JAグループの米卸が11あります。それ以外の米卸もどれもJAと長年取引のある会社ばかり。コメの流通に参画したい業者は、2次問屋や3次問屋として請け負うしかないのです」(JA関係者)
その結果、次のような事態が発生していると意見書では指摘している。
〈5次問屋なども存在する多重構造によって、中間コストに加え、マージンがそれぞれに発生することが、最終的な小売りの仕入原価に反映されることになる〉
米卸関係者が補足する。「JAが流通経路の“川上”を牛耳ることで間に入る卸業者の数が増え、マージンが嵩みます。それらが経費として上乗せされ、コメの販売価格が高騰していく構造があるのです。実際、3月の備蓄米も販売価格が落札価格の2倍にまで跳ね上がっていました」》
小泉進次郎の父親は「郵政民営化」を叫び、選挙で大勝して民営化したが、その後を見れば、これが誤りだったことはよく知られる。今回、小泉が、備蓄米がなくなれば外国から輸入するといい出したのは、やや気になる。
参院選目当てで、当面、安いコメを流通させれば、有権者は単純に喜び、自民党の票の目減りを押さえられると考えているとしたら、大きな誤りである。
それよりも、自民党とJAが組んで進めてきた「減反政策」を即刻やめ、農地を増やし、若者にも魅力ある農業に転換することこそ、喫緊の課題であるはずだ。
それを阻むのは、JAの守護神といわれる森山裕幹事長だ。文春は森山を直撃している。
《――野村元農相の言葉はJAの声を代弁している?
「農家の皆さんに心配をかけちゃいけないのは2000円のコメがずっと続くことはあり得ないわけです。そこを心配しておられるというのはよく分かりますので」
――5次問屋に及ぶ構造も問題視されている。
「自由主義経済では、問屋の数を規制もできませんし。あれだけのコメの保管や輸送をするとなると、今の流れが一番安定します」
――小泉氏は、JAを農業などの経済事業に注力する方向に改革するつもりだ。
「都市部ではなくてもいいですけど、田舎は他に金融機関がないですから。飛躍した考え方だと思います」》
森山は進次郎の父親・小泉純一郎の「郵政民営化」に反対して離党したことがある。今回も、進次郎のやり方を腹の底では苦々しく思っているはずだ。だが、今の有権者の大多数は、「コメの値段の下落」を支持している。
参院選までにもう時間はない。小泉の農業改革が本物か、票欲しさの思い付きか。我々有権者は冷静に見極めることが求められているはずだ。
(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)
同・2「白鵬が森山自民幹事長から参院選出馬を打診されていた!」(『週刊文春』6/12日号)「さらば相撲協会 白鵬が豊田章男トヨタ自動車会長に支援してほしい新事業の中身」(『週刊新潮』6/12日号)
同・3「追悼 長嶋茂雄『不滅の伝説』と『一茂との愛憎』」(『週刊文春』6/12日号)「長嶋茂雄死す(享年89)大谷翔平に託した野球界の未来」(『週刊新潮』6/12日号)
同・4「ハーバード大生50人に訊いたトランプへの怒り」(『週刊文春』6/12日号)
同・5「渡邊渚独占手記『私は性暴力を絶対に許さない』(『週刊ポスト』6/20日号)
同・6「プーチンを電撃訪問 安倍昭恵さんに『駐米大使説』が流れた事情」(『週刊新潮』6/12日号)
同・7「第4回 全国お天気キャスター総選挙 一昨年7位から頂点へ!新女王はL.A.育ち フジテレビ8代目朝のお姉さん」(『FLASH』6/17日号)
同・8「悠仁さま 近づく成年式でも子離れできない紀子妃の煩悶」(『週刊新潮』6/12日号)
同・9「末續慎吾 100mを全速力で走り続ける45歳『ケガしても10秒82.そこに可能性がある』」(『FRIDAY』6/20日号)
6月3日に亡くなった長嶋茂雄ショックで、今週は毎日ボー然としていた。
89歳で、脳梗塞の後遺症を抱えているのだから、いつ亡くなっても不思議はなかったのだが、長嶋に限っては「不死鳥」だと思っていたから、訃報を聞いたときは信じられなかった。
昭和100年の節目の年。亡くなったのは3日。3333長嶋さんという言葉があったように、巨人軍時代の背番号3は永久欠番。
私たち「団塊の世代」にとって、長嶋は青春そのものだった。長嶋が打てば自分が打ったかのように喜び、打てなければ我がことのごとく落ち込んだ。
しかし、長嶋の凄さは2004年に脳梗塞で倒れてからである。その過酷なリハビリをこなす長嶋の姿が何度かテレビで流れた。何としてでももう一度表舞台に立つ。
グラウンドで見せた不屈の精神は、体が不自由になろうと萎えることはなかった。長嶋は多くの体の不具合を抱える高齢者たちに勇気を与える希望の星になったのである。
と、長嶋についての話になれば、この欄のすべてを使っても書ききれないが、それについては後でまた触れるとしよう。
最初は、長嶋ほどではないが“中年の星”である末續慎吾の話をFRIDAYから。末續は2008年の北京五輪の男子200メートルで3位になった日本屈指のスプリンターである。少し競技を離れた時期があったそうだが、それから17年経ち、45になっても現役にこだわって練習を続けているというのである。
今年11月に行われる世界陸上への挑戦も口にしている。5月17日には、自身が主催する「アースグランプリ」に出て、10秒82で走ったそうだ。それも左足の外反母趾に苦しめられてだという。
末續が2003年に出した200メートルの日本記録は、未だに破られていない。
世界に挑むと公言することは、言葉でいい尽くせない厳しい練習があることは、私でもわかる。なぜ、「不可能」とも見える無謀な挑戦を続けるのか。末續はこう話している。
「この年齢で走っていることの『?』をなくしたいというか、その価値観を壊したい。本来、“走ること”は楽しいはずなのに、日本人は真面目だから“結果を出さねばならない”という義務感が出て、かしこまり過ぎてしまう。そうした日本が抱えるスポーツの暗部に本気で向き合ってみようかなと思った部分もあります」
末續は世界陸上や北京五輪でメダルを取った後、「アスリートとしてのキャリアを肯定してもらえるような言葉をかけてもらった記憶もない」という。
そんな状況を受け止めきれずに、手が震え車に乗れなくなってしまって、このまま死んでしまうのではないかと思い詰めたこともあったそうだ。
わかる気がする。日本では野球やサッカーなどのスター選手はちやほやするが、陸上競技者に対するリスペクトが少ない。
その上、メダルに見合う報酬も、花形スポーツに比べればはるかに少ない。同じ、いや、もっと命を削るような努力をしてメダルを取っても、すぐに忘れられてしまう。末續はこういう。
「メダルを取ったことはもちろん誇りですが、生きずらくなってしまった。いまは、結果は二の次というか、誰に何を言われても構わないし、この挑戦を楽しみたい気持ちが強い」
しかし、現実は厳しい。6月8日の関西実業団選手権最終日、男子100メートルのオープンに末續が出場したが、11秒08で7着となった。レース後、末續は涙を流したそうだ。だが、結果ではない。いくつになっても夢に挑戦し続ける心が尊いのだ。長嶋茂雄がそのことを教えてくれている。がんばれ末續!
お次は新潮から。小室圭と眞子さん夫婦に子どもが生まれても、秋篠宮との“和解”はまだまだ先のことになりそうだ。
女性セブンの報道から10日も経ってから宮内庁は、「出産した」ことは認めたが、いつ生まれたのか、男の子か女の子かということは一切発表しなかった。それは秋篠宮がそうしろといったのであろう。
だが、女親はどうか? 初孫を早く抱きしめたいと思うのは紀子妃とても同じだろう。だが、秋篠宮にいい出すことなどできはしない。
そんな屈託を抱えている紀子妃は、職員たちにつらく当たっているのではないか。しかし、新潮によれば、そんな母親と長男の悠仁さんとの「距離」も離れつつあるというのである。
秋篠宮家では9月の悠仁さんの「成年式」に向けての作業が進められているようだが、「先日は、職員が言いつけとは異なる動きをとったため、紀子さまが厳しいお言葉を投げ掛けられる一幕がありました」(秋篠宮家の事情を知る関係者)
すると、
「そこに悠仁さまが居合わせておられました。ご自身にまつわる件で職員が母親から苛烈な指導を受けている場面を目の当たりにされた悠仁さまは、紀子さまに向かって『それはおかしい。お母さまが間違っていますよ』などと、整然と進言なさったのです。職員は難を逃れ、紀子さまはその場で反論できず、口をつぐんでしまわれました」
そのほかにも、報道陣の前で、悠仁さんが紀子さんをあからさまに避けるような素振りをしたことが、何度かあったそうだ。先の関係者はこう話す。
「将来のお世継ぎであられる悠仁さまをしっかりお育てして国民の期待に応えたい。その一心でご長男と向き合われ、何くれとなく世話を焼かれる紀子さまのお姿に、悠仁さまは辟易なさっているご様子もうかがえます」
悠仁さんは大学1年生だから、遅い反抗期というもので、父親や母親が煙たくなる年ごろなのであろう。だが、長女の眞子さんとは意思疎通ができず、次女の佳子さんともあまりやりとりがないといわれる秋篠宮家。これで長男にもそっぽを向かれたら紀子さんとしてはやりきれない思いだろう。
愛子天皇待望論が盛り上がりを見せる中、秋篠宮家はまだ嵐の中にいるようだ。
FLASHは第4回お天気キャスター総選挙という特集を組んでいる。
これはFLASHが独自で行ったのではなく、大手広告代理店がやっているそうだ。この調査は、今年4月以降で、お天気キャスターとして担当番組を持ち、「現役」であることを条件に選出しているそうだが、選出の条件は「局アナではない」「気象予報士の資格は必須ではない」「活動の主軸がお天気キャスターである」というものだという。
アンケートの規模は、全国のそれぞれ男女14~18歳1000人、19~34歳1500人、35~49歳1500人、50歳以上1500人の合計5500人というから、相当大規模な調査のようだ。
その結果、20位までにZ世代のお天気キャスター6人が初ランクインしたという。
堂々1位に輝いたのは『めざましテレビ』お天気キャスターの林佑香だという。「一昨年7位→昨年2位と順位を上げ、10~30代の支持を得た。9歳までアメリカ・ロサンゼルスで過ごした帰国子女で、天達武史気象予報士とのコーナーでは抜群の英語力を発揮している。番組でいちばん印象に残っていることを聞くと、笑顔でこう話す。
「カリフォルニアのディズニーランドで開催された『ピクサー・フェスト』(2024年)というイベントに取材に行かせていただいたことです。小さいころから自分が大好きだった場所に行き、好きな乗り物などを紹介できたことは、ずっと心に残ると思います」
毎回、番組内で6回登場して天気予報を伝える彼女だが、視聴者からも『朝は時計代わりに林さんの顔を見るのが習慣』(以下、「」は視聴者の声)と親しまれているようだ」
昨年の1位から2位に順位を落としたのが久保井朝美。一昨年も2位と安定した人気を誇り、30代後半からの支持が高いそうだ。
「3位の駒木結衣も昨年4位、一昨年3位と上位の常連だ。ウェザーニューズの同期だった檜山沙耶が番組を去り、エース的存在に。『檜山さんより駒木派だったから今の活躍は嬉しい限り』と喜びの声も。
4位の今井春花は、昨年26位からのジャンプアップ。『グラビアは衝撃的なかわいさで天気予報もキュートです』と、漫画誌でグラビアを披露したことも得票に繋がったようだ。
昨年のランク外から5位に入ったのは小林李衣奈。『メンバーが活性化しているウェザーニュースの次の推し』と、番組に多くのコアファンがいる『ウェザーニュースLiVE』のなかでも支持を伸ばしている」
私が密に贔屓にしている『ニュース7』の晴山紋音は6位か。慶應大学3年次に気象予報士に合格した本格派だそうだ。晴山というのがいい。彼女が予報すると、雨でもスカッとしてくるから不思議だ。
7位は山岸愛梨、8位は中川絵美里、9位には『おはよう日本』出演も5年めとなる近藤奈央、10位には防災士の資格を持つ中西花が入った。
人気投票もいいが、お天気キャスターたちに望みたいのは、もっと正確な予報をしてほしいということだ。当たってこその天気予報キャスターだろ。それに、顔は違ってもいうことは皆同じ。時には気象庁が明日は晴れだといっているけど、私は明日は雨が降ると思いますなどと“反旗”を翻すのはいないのかね。皆同じなら、天気予報士は一人でいいと思うのだが。
さて、故・安倍晋三元総理の妻の昭恵(62)が、石破をそっちのけで、トランプやプーチンと会談して、世界から注目を集めている。
“安倍の威光”だといってしまえばそれまでだが、特に、プーチンの昭恵の処遇は、まさに下にも置かないもてなしで、改めて昭恵の「外交力」に舌を巻いた。
昭恵がプーチンと会ったのは5月29日。面会で、プーチンが安倍の思い出を語り、昭恵が涙ぐんでいる映像が流れた。
「面会後、プーチン氏は大統領専用車を貸し出し、バレエ鑑賞のために昭恵さんをボリショイ劇場まで送り届ける異例の歓待ぶりを見せた」(新潮)
この行動は、ロシアとの強いコネクションを持つ鈴木宗男参院議員も知らず、もちろんメディアも寝耳に水だった。在ロシア大使館も関与していなかったというのである。
だが、彼女の極秘アテンドをした人物は、薗浦健太郎元衆院議員だということは判明しているそうだ。薗浦はトランプの時も同席していたといわれる。
薗浦は麻生太郎が総務相だった時代に秘書を務め、麻生派内では“重鎮”といわれているそうだ。
だが薗浦はプーチンとのパイプはないそうだ。そのため麻生が一肌脱いだのではないかといわれているようだ。
そんな大物とのパイプがある昭恵を「駐米大使」にしてはどうかという声が、麻生派内で上がっているというのである。
実現性はないのだろうが、まだまだ安倍の敷いたプーチンのロシアやトランプのアメリカとのパイプが生きているのなら、彼女を使わない手はないだろう。
しかし、昭恵はなぜ今ごろ、両首脳と会う行動に出たのだろう。もしかすると、彼女は参院選に出馬するのでは? そうも思いたくなる安倍昭恵の大胆行動ではある。
ところで、元フジテレビのアナウンサーだった渡邊渚(28)という女性は不思議な人である。
「ある事件」が起こって体調不良を発症して休業。その翌年にフジを退社したが、その後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられているそうである。
今年2月には、自分の体験を赤裸々に著わした『透明を満たす』(講談社刊)を上梓し、ベストセラーになり注目を集めた。
ポストによれば、そんな渡邊が怒りを感じているのが「性暴力」についてだというのである。
フジの女子アナを家に呼び、「性暴力」をふるったといわれているのが中居正広である。名指しはしていないが、今回のポストに寄せた文章も、中居問題が前提としてあるのは間違いないのだろう。
今や「性暴力」に対する怒りを露わにする渡邊は、そうした被害に遭った女性たちの“守護神”のようである。
彼女は手記の中でこういっている。
「今年ももう上半期が終わろうとしている。この半年も様々な事件や話題があったが、中でも“性暴力”に関するニュースを目にする機会が多かった。
大阪地検元検事正の性的暴行、映画監督の『主文以外はあとがき感想文』発言、性的暴行で逮捕されのちに不起訴処分になったスポーツ選手の日本代表復帰、一般の性暴力事件も毎日のように報じられた。
こういった事案を聞くたびに、私もPTSDを患っているから、トラウマを抱える被害者たちの気持ちや状況が生々しく理解できて、心が締め付けられる。
加害者にとっては『たった一度、この人だけ失敗した』なんて思うのかもしれないが、被害者はそのたった一回で、たった一度の大事な人生をぶち壊される」
彼女が実体験した「ある事件」がどのようなものかは知らないが、性的暴力を受けた女性が、時には相手に感謝をほのめかす言葉を発することもあるといっている。
「2022年、NHKが性被害について3万8383件のアンケートを行った。それによると、被害時の気持ちや思考について、『自分に行われていることが何かよくわからない状態だった』『どう反応すればよいのかわからなかった』『頭が真っ白になった』『殺されると思った』『相手が自分より上の立場だったので断れなかった』という回答が目立った。
性被害に遭った時、抵抗できないだけでなく、加害者に合わせたり、感謝をほのめかすなどの言動をすることも珍しくない。これは大きな危険に直面した時、生き延びるための神経系の自然な反応だと言われている。死を覚悟するほどの恐怖を自分の身体一つで受け入れるしかない状況で、生きてその場から出ることが最重要事項になり、防衛のためにそういった行動に出るのだ。
そんな状況から生きながらえたとしても、恐怖や恥辱感でいっぱいで、その後の気持ちや思考にも影響が出る。アンケートによると、気分が落ち込むだけでなく、『汚れてしまった』『自分に価値がない』『将来のことを考えられない』『生きている実感や現実感がない』と感じる人も多く、自傷行為をした、また自傷行為をしたいと思った人の割合が合わせて20%を超えている。
さらに、人との付き合い方もわからなくなる。自分は他の人と違ってしまったと感じて、人と親しくなったり恋愛したりすることが難しく思えたりする。
また、同意がある状態でも性的な行為に嫌悪感や忌避感が生まれ、恋愛や結婚について希望を
持つことがなくなる人の割合も高く、逆に性行為のハードルが著しく低くなる人もいる」
性被害を受けた女性の心理をよく研究しているようだ。さらに、
「たとえ身体的な傷が治ったとしても、心の傷が全て癒えることはないし、脳が記憶としてずっとトラウマを保持し続ける。もう元の自分はいない。生きれば生きるほどトラウマと向き合う時間が増えて、性被害は被害者にだけ、まるで終身刑のように一生苦しみを与え続けるのだ」
渡邊は、現代は性的加害者に甘い社会だと批判する。
「性暴力は、被害者に大きな傷を負わせ、生きる気力も奪ったのに、加害者の大半が罰せられずのうのうとしていられる歪な犯罪だ。捕まってないから、不起訴だから、無実ではない。地獄のような経験をさせて人生を壊し、被害者の将来を歪めた事実は変わらない。被害者の落ち度を血眼で探し、性暴力の定義を歪めてまで加害者を許そうとする社会に、いい加減終止符を打つべきだ。
性暴力は魂の殺人とも言われる。そう、殺人なのだ。だから“あらゆる性暴力(殺人)は許さない”という当たり前を公言する大人が増えることを切に願う。安全に過ごせて被害者が生まれない未来を作るために、私たちは声を上げ続けなければならない」
まさに魂の叫びである。彼女自身が受けた体と心の傷がどれほど深かったのかが、この文章を通して読み手に伝わってくる。
中居正広や、自社の女子アナをタレントの接待要員として使っていたフジの編成幹部に読ませてやりたいものである。
ところで、アメリカというよりも世界を代表するハーバード大学が、トランプ大統領の理不尽な“攻撃”に晒され、揺れている。
文春は、ハーバードの学内で50人の学生たちに「本音」を聞いて回った。そこで見えてきたものとは何か?
「パレスチナ自治区のガザに対するイスラエルの攻撃をきっかけに、アメリカ国内の大学ではイスラエルへの抗議活動が活発化。一連のデモなどを“反ユダヤ的”と見るトランプ大統領は、大学当局が適切な対応をとっていないとして、
「学術プログラムや職員の採用慣行の見直し、DEI(多様性・公平性・包摂性)イニシアチブの完全撤廃など、アメリカ人優先、外国人排斥的な政権の保守的な政策を受け入れるよう要求しています。従わない大学に対しては政府からの助成金停止をちらつかせており、実際にこの圧力に屈してこれまでの学風を一変させた大学もあります」(在米ジャーナリスト)
だが、アメリカ一の名門大学であるハーバードは大統領の要求を撥ねつけたことで、トランプ政権との全面対決に突入する。
「トランプ大統領のハーバードへの攻撃はすさまじい。すでに数千億円規模の政府助成金は停止され、5月22日には、ハーバードの留学生受け入れ資格取り消しの措置が発表されました。これにより在学中の留学生は、他大学に転籍などの選択をしなければ米国での滞在資格を失うことになります。23日には連邦地裁が政府のこの措置を一時差し止めする判断を下し、最悪の事態は免れましたが、予断を許さない状況です」(外信部記者)
では、学生たちはこの事態をどう思っているのだろうか。
「トランプの措置は、馬鹿げているし、非愛国的です。大統領は無能な独裁者だ」(心理学と経済学を専攻する学部2年生のウィリアム・フー氏)
「政権はファシストがやるであろうことを忠実になぞっているようにみえる」(ガバナンス専攻の大学院生ルーカス・アトキンス氏)
「自分よりも遥かに大きい権力と対峙し、無力感がある」(ケネディスクール卒、コマラ・アヌピンディ氏)
「とても合理的な判断ではない。民主主義国家でこんなことが起きるんだと驚いています。アメリカ政治への見方がまるっきり変わった」(ケネディスクール卒、日本人のミカコ氏〈仮名〉)
アメリカの憲法修正第1条は、表現の自由や報道の自由を保障しているが、ロースクールの学生たちは、「トランプ政権は憲法を侵害している」と口をそろえているようだ。
トランプは熱烈なイスラエル支持者だ。もっとも、アメリカ経済そのものがユダヤ人に牛耳られているのが現実だ。
当事者であるユダヤ系のジョシュア氏(ロースクール卒、欧州出身)は、「反ユダヤ主義は、ハーバードや他大学に限らず、どこにでも存在する」と語る。
「自分を含め、反ユダヤ的な思想を持たない全ての留学生が大変な思いをしている。トランプ政権の本当の目的は、リベラルな高等教育機関への攻撃にあり、反ユダヤ主義を許さないというのはただの口実にすぎないのでは」
だが、トランプによる、最大50億ドル(約7100億円)の助成金停止は、研究へのダイレクトなダメージになりうる。
博士課程で物理学を研究するスペイン国籍のパブロ氏はすでに大打撃を受けたと話す。
「僕が携わっているリサーチの多くが、連邦政府が拠出する資金に頼っています。すでに複数のプロジェクトが止まりました」
社会科学分野も影響は免れそうにない。経済学を研究する博士課程5年のリンジー・キャリエール氏が曇った表情で明かす。
「5月14日には、アメリカ国立科学財団からの奨学金が打ち切られました」
今後の研究資金については大学に問い合わせ中だというが、見通しは暗いというのである。
学問の自由を守り、トランプ大統領への怒りを示したい――デモに参加する理由も意思もあるが、当局への恐怖がそれを阻んでいるという。
「インドからの移民の両親には『デモには参加しないで』と言われて育てられてきました。私は『憲法に守られるから大丈夫』と、両親の心配を杞憂扱いしてきたのですが、留学生の国籍獲得のチャンスが失われる可能性がある現状を目の当たりにして、自分の考えのほうが間違っていたと思い始めています。私自身はアメリカ国籍ですが、それでも怖くて参加できない」(ロースクール卒、ヴァイシャリ・シャンドラリ氏)
アメリカは2001年に起きた9・11以降、友人たちと政治に関する話をすることもできなくなるほどの言論統制が行われた。だが、今また「反ユダヤ主義を許さない」というトランプ大統領によって、自由な言論が封殺され、多様な国から集まってくる優秀な人材がアメリカを去ってしまえば、アメリカには自国の愚鈍な人材だけが残り、国際社会から落ちこぼれていくことになりはしないか。
あと100年経って、トランプ大統領を恨んでももう遅いのだ。
次は、冒頭でも記した長嶋茂雄の死である。享年89。重度の脳梗塞を患っても、いつも穏やかな笑顔を絶やさなかったミスター。私は、彼に何度励まされたことだろう。高校3年の秋。健康診断で結核が見つかり、1年の“静養”がいい渡され、友人たちが皆受験勉強に励む中、私の楽しみはテレビで長嶋の野球を見ることと、親からもらった100円玉を握りしめてパチンコをやることだった。
大学はおろか、このまま社会へも出られないかもしれない。そんな不安を一時的にでも忘れさせてくれたのは、長嶋の躍動する姿だった。
私は父子二代の由緒正しい巨人ファンだった。
父は読売新聞の野球部(同好会のようなものではなかったか)で、時々、多摩川の巨人軍の練習場に小さかった私を連れて行った。そこで「背番号16」の川上哲治から、当時としては珍しいチョコレートやキャンディを山のようにもらったことで、私は熱烈な巨人ファンになった。
私が13歳の時に長嶋が立教大学から巨人に入団した。私たち野球少年はすぐ彼の虜になった。私が出版社に入ったばかりの1970年代初め、長嶋から先輩編集者に「〇〇さんいますか」と電話がかかってきた。たまたま出たのが私だった。すぐに長嶋だとわかり、思わず「長嶋さん、頑張ってください!」と大声で叫んで、編集部の顰蹙を買った。
1974年10月14日、長嶋茂雄の引退試合の日、私は後楽園球場のバックネット裏にいた。
社の持っている年間シートを取材だと偽って手に入れ、双眼鏡で長嶋だけを見つめていた。
引退試合は中日とのダブルヘッダーだった。1試合目が終わって突然、長嶋がダッグアウトを出て外野を歩き始めた。「やめないでくれ」という悲鳴のような声が沸きあがった。長嶋は手を振りながら泣いていた。私は双眼鏡が放せないほど涙が溢れた。後楽園球場が、日本中の野球ファンが「野球少年の死」(寺山修司)を惜しんだ。
2004年3月4日、長嶋は家で脳梗塞をおこし倒れた。家には誰もいなかった。運転手が発見したが、だいぶ時間が経っていたといわれた。別居していた妻はその3年後に亡くなった。享年64。
しかし、そこから長嶋の英雄伝説第二幕が始まる。麻痺が残り過酷なリハビリに励む姿が何度もテレビで流れた。翌年には東京ドームで野球観戦できるまでに回復した。今年3月、大谷翔平とも会っている。野球少年たちの夢を実現したスーパースターが、今度はハンデを持つ多くの高齢者たちを励ます“希望の星”になったのである。
今年は昭和100年だという。現役時代は数々の偉業を打ち立て、憧れの存在になった歌手や芸能人、スポーツ選手は数多くいただろうが、引退し、大きな病を得ても、その頑張る姿が日本人に勇気を与えてきた人間はほとんどいないだろう。
長嶋はそれをやったのけたのである。右半身が動かなくても、常に笑顔を浮かべ、少しもつれる舌で野球や人生を語る前向きな言葉は、我々高齢者を勇気づけた。
葬儀の時、娘の三奈がこういった。SponichAnnex(6/8(日) 16:00配信)より引用。
《「6月3日、朝6時過ぎに、病室におりまして、脈拍と血圧の数値が0になったんですが、よく見ると、波形が、ピッピッと山なりの波形が、ずっと続いているんです。看護師さんに“これ、どういうことなんですか”と聞きましたら、“監督が心臓を動かそう、動かそう、動かそうとしている振動なんだと思います。私、こんなの見たことありません”。看護師さん、主治医の先生方、最後まで驚いていました。最後まで長嶋茂雄を貫いた人生を送ったと思います」と最期を明かした。
「意識がなくなっても諦めず、そして、最後まで、俺は生きるんだ、諦めてないぞ、諦めてないよと。父の心臓の鼓動がそう発していると、私は思いました。父らしい、最期まで諦めない姿を見せてくれました」と語り、「父は、きっとこの後、天国でも日課としている散歩とトレーニングを続けると思いますので、晴れた日には、皆様どうぞ時々空を見上げて、父のことを思い出していただければと思います」と呼びかけた。》
長嶋茂雄のいない日本なんて……。寂しくなるな。
ところで、今日(6月9日)昼、大横綱だった白鵬(40)が引退についての説明会見を開いた。
八角相撲協会理事長の白鵬に対するいじめとも思える嫌がらせや、後輩の照ノ富士が伊勢ケ濱親方になり、その下では嫌だという思いが重なり、ついに堪忍袋の緒が切れたといわれていたが、会見では、そういったことへの「口撃」はなく、終始穏やかな表情だった。
会見には、前伊勢ケ浜親方で9日付で襲名した宮城野親方(元横綱旭富士)が同席するサプライズがあった。
退職するにあたって白鵬は「悔いはまったくない」といい切った。日刊スポーツネット版(6月9日12時10分)から引用する。
《宮城野親方は「このたびは白鵬翔が本日付をもって引退しました。これだけの実績、たくさん記録を持っています。こういう人がずっと協会にいてくれていれば、良い力士が出ると思っていた。本人の意志が固くて引き留めることができなくて、ファンのみなさまには申し訳なく思っています。本人も相撲が好きで愛していて、十分誇りに思っていると常々、聞いている。相撲を通じて社会貢献したい、相撲協会にも恩があるから応援していきたい気持ちがあった。外の方からやっていきたいとの意思を尊重した。ひきとめることができずに残念でなりません。相撲を通じて社会貢献したいと思いがある。ご指導を鞭撻(べんたつ)を切にお願い申し上げます」と支援を呼びかけた。
その上で「私も今日から宮城野親方になった。将来、(宮城野の)名跡をつげるものがでてきたら、いずれ宮城野部屋を復興させられるように尽力したい」と話した。
冒頭で発言を終えると、白鵬さんと握手とハグをかわして、退席した。
白鵬さんが師匠を務めていた宮城野部屋で昨年、弟子だった元前頭北青鵬の暴力が発覚。監督責任を問われて部屋は閉鎖、昨年4月に師弟で伊勢ケ浜部屋に転籍した。
横綱の先輩である宮城野親方の下で、部屋の運営などを学んでいた。
6月9日付の退職願が協会に提出されていた。》
以下は朝日新聞Digital(6月9日 12時20分)からの引用。
《「相撲に愛され、相撲を愛した25年だった。私白鵬翔は協会を退職し、新たな夢に向かって進み出すことを皆さんにお伝えします。今の自分が置かれた立場を考えると、協会の中ではなく外の立場から発展に尽くすことが良いと判断した」
「弟子たちへの愛情は変わらない」
今後の活動については、「日本のみならず、世界の人たちに多くの『世界相撲グラウンドスラム』で広めて参ります。相撲は神事でもあります。精神や肉体を鍛え、人々を導く道でもあります。いま世界にある差別や偏見を回収するための基本を届けることができると信じております。この理念をもとに『世界相撲グランドスラム』を実現してまいります」》
相撲協会との軋轢を乗り越え、次の大仕事へのやる気が、静かな中にも滾っている。「今に見ていろ」という覚悟が伝わってくる会見だった。
最後に白鵬が壇上から降りる際、記者から拍手があった。横綱在位中は、ぶちかまし、張り手など、横綱にあるまじき相撲と、横綱審議委員会から何度も注意されたが、白鵬はそれを改めることはなかった。
しかし、横綱に相応しい相撲を取って負けるよりも、自分の思う相撲を取り切ったからこそ、史上最多の45回という優勝を成し遂げることができたのだ。
世界グランドスラム構想を発表し、ここは株式会社になるという。トヨタ自動車の豊田章男会長は白鵬を贔屓にし、この構想も支援していくようだ。
新潮によれば、このグランドスラムというのは、
「これまでわんぱく相撲大会『白鵬杯』を開催してきましたが、まずは国際相撲連盟と連携する形で、子供だけでなく、男子、女子と階級別で世界一を争う大会を主催する意向です。将来そこに派生するビジネスにも手を広げたいと考えています」(協会関係者)
相撲を世界のスポーツに成長させ、オリンピックの正式種目にもしたいという夢を持っているといわれる。そう簡単ではないだろうが、相撲が持っている「真剣勝負」のぶつかり合いは、プロレスや異種格闘技と並んで、見る者を熱くさせるはずだ。白鵬に期待したい。
今週の最後の特集は、「コメの民営化」を進めるのではないかといわれる小泉進次郎農水相についての文春と新潮の記事。
鳥に食べさせる餌のような古古米を人間に食べさせるのかという批判さえあった「備蓄米の放出」だったが、5キロ2000円程度で手に入る安さもあって、入荷すれば長蛇の列ができ、あっという間に売り切れるスーパーが続出している。
味のほうも、食べた消費者の声は概ね「おいしい」と好評である。それだけコメの値段の高騰に、庶民は怒り、困っていたのである。
農水族や一部の識者たちが指摘していた、コシヒカリなどの銘柄米への影響はなく、コメの値段は二分化、三分化していくとのしたり顔が、おそらく醜くゆがんだだろうと思うのだが、備蓄米放出後に、銘柄米の下落が起きているのだ。
備蓄米の販売が全国各地に広がるなか、“銘柄米”の価格に変化の兆しがある。テレ朝NEWS(6/9(月) 13:07配信)はこう報じた。
《「内田米店」 内田幸男社長
「茨城コシヒカリの2等米が(60キロ)3万5000円。1日で4000円も下がっちゃうの? っていうのは、正直、こんな経験はあまりなかったです」
こちらのコメ販売店が購入しているのは、JAを通さずに卸売り業者同士が直接取引する“スポット取引”。その価格が急落しているという。
内田社長「3250円くらいで5キロ売れますね」》
小泉進次郎と石破茂の「やった!」という顔が見えるようだ。
文春は、JAと癒着してきて、小泉の進め方に異を唱えた野村哲郎元農相の収支報告書を精査したという。
《資金管理団体「彩燿会」は2100万円の寄附、政党支部「自民党鹿児島県参院第五支部」は80万円の寄附、4725万円のパーティ券購入を受けていたのだ。総額7000万円近い“JAマネー”が注入されていたことになる。
JAからの献金などについて野村氏に訊いた。
――小泉氏の手法に思うところがある?
「大手にだけ備蓄米を渡すって、離島なんかどうするのかね。そもそも備蓄米が届かない。もう少し詰めた議論をしてから発表してほしいという意味です。マスコミの皆さんが追いかけるから、彼もサービスしなきゃいけないと、『(党の)部会になんかかけない』と言ってるんだと思うけど」
――党の農林族は同意見?
「今度の選挙にマイナスにならせんか、と。少なくとも農林の森山先生のところの幹部の人たちぐらいには事前に話があればね」
――JAからの献金が多いが、意向を汲んでいる?
「そんなことないですよ。JAを贔屓にすれば、それこそ逆効果だもん。我々は色がついていると見られているわけですから」》
開き直りとしか見えない。だが、小泉のやり方に反発しているのはJAという“魔物”である。コメが足りない、高いと庶民が悲鳴を上げている時JAは、「3月に2回行われた備蓄米の競争入札では、JA全農が9割を落札。5月末の時点で卸売業者に引き渡されたのはそのうちの3割強で、消費の現場まで届いたのは2割程度に留まっています」(農水省担当記者)
落札、流通、金融のすべてを一手に握っているのがJAなのである。文春によれば、
《農水省のデータ(23年産米)によれば、全国で収穫されるコメの約93%を「集出荷業者」である各都道府県のJA農協が集荷。そこから全国団体であるJA全農へ出荷される。その後、「1次問屋」である米卸業者へと移るが、その多くもまた、JA系なのだ。
「全農パールライスをはじめ、JAグループの米卸が11あります。それ以外の米卸もどれもJAと長年取引のある会社ばかり。コメの流通に参画したい業者は、2次問屋や3次問屋として請け負うしかないのです」(JA関係者)
その結果、次のような事態が発生していると意見書では指摘している。
〈5次問屋なども存在する多重構造によって、中間コストに加え、マージンがそれぞれに発生することが、最終的な小売りの仕入原価に反映されることになる〉
米卸関係者が補足する。「JAが流通経路の“川上”を牛耳ることで間に入る卸業者の数が増え、マージンが嵩みます。それらが経費として上乗せされ、コメの販売価格が高騰していく構造があるのです。実際、3月の備蓄米も販売価格が落札価格の2倍にまで跳ね上がっていました」》
小泉進次郎の父親は「郵政民営化」を叫び、選挙で大勝して民営化したが、その後を見れば、これが誤りだったことはよく知られる。今回、小泉が、備蓄米がなくなれば外国から輸入するといい出したのは、やや気になる。
参院選目当てで、当面、安いコメを流通させれば、有権者は単純に喜び、自民党の票の目減りを押さえられると考えているとしたら、大きな誤りである。
それよりも、自民党とJAが組んで進めてきた「減反政策」を即刻やめ、農地を増やし、若者にも魅力ある農業に転換することこそ、喫緊の課題であるはずだ。
それを阻むのは、JAの守護神といわれる森山裕幹事長だ。文春は森山を直撃している。
《――野村元農相の言葉はJAの声を代弁している?
「農家の皆さんに心配をかけちゃいけないのは2000円のコメがずっと続くことはあり得ないわけです。そこを心配しておられるというのはよく分かりますので」
――5次問屋に及ぶ構造も問題視されている。
「自由主義経済では、問屋の数を規制もできませんし。あれだけのコメの保管や輸送をするとなると、今の流れが一番安定します」
――小泉氏は、JAを農業などの経済事業に注力する方向に改革するつもりだ。
「都市部ではなくてもいいですけど、田舎は他に金融機関がないですから。飛躍した考え方だと思います」》
森山は進次郎の父親・小泉純一郎の「郵政民営化」に反対して離党したことがある。今回も、進次郎のやり方を腹の底では苦々しく思っているはずだ。だが、今の有権者の大多数は、「コメの値段の下落」を支持している。
参院選までにもう時間はない。小泉の農業改革が本物か、票欲しさの思い付きか。我々有権者は冷静に見極めることが求められているはずだ。
(文中一部敬称略)
(文=元木昌彦)