家電のプロおすすめの加湿器、「スチーム式」は手入れがラク! 象印が人気のワケ

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 空気の乾燥が気になるシーズンになりました。就寝中にのどのイガイガを感じて目を覚ましたことのある人は少ないくないのでは? 小林製薬株式会社の公式サイトによれば、「乾燥した空気を吸い続けると咳き込みやすくなったり、朝起きた時のどに痛みやイガイガ等の不快感を生じやすくなるとも」されているとか。
 そこで出番の登場となるのが「加湿器」。家電量販店だけでなく雑貨屋でも購入できますが、実は大きく3つの種類に分類されていて、メンテナンスの必要度合いがまったく違うんだとか。家電コーディネーター・戸井田園子さんいわく、雑貨屋で販売されているのは超音波式のものが多く、「メンテナンスが嫌いな人は超音波は選んだらダメ」とのこと。その理由と、おすすめの機種を聞いてきました。
※ 2020年1月14日初出の記事に再編集を加えています。
※価格や機種の情報は20年1月時点のものです。
※最新情報は各メーカーの公式サイトをご確認ください。

 情報も種類もたくさんありすぎて、どれを選んだらいいか混乱してしまう家電。いったい何を基準にどれを買えばいいの!? とにかく面倒くさがりな編集者・くさ子とドケチなライター・ケチ美が、家電コーディネーター・戸井田園子さんに、いま話題の製品や間違いのない製品を聞きました。
 第1回は身も心もカッサカサになりがちな冬に欠かせない「加湿機」です。

加湿機の「正解」を家電コーディネーターが解説
ライター・ケチ美(以下、ケチ美) 今回は間違いのない加湿機選びを教えていただきたいと思います。やっぱりリビングなどにずっと出しておくものなので、スタイリッシュなものがいいですよね。それでお手頃価格ならサイコーです!
戸井田園子さん(以下、戸井田) ちょっと待った! 加湿器は大きくわけると気化式、スチーム式(加熱式)、超音波式の3つの方式、それに加えて気化式にヒーターを付けたハイブリッド式(温風気化式)などがあるのをご存知ですか? 結構これ重要なんです。メンテナンスが嫌いな人は超音波は選んだらダメ。
編集者・くさ子(以下、くさ子) えっそうなんですか。私、雑貨屋さんで買った加湿器を使っているんですが、メンテナンスなんて、たぶん1回もしたことありません。
戸井田 雑貨屋さんで販売されている製品というと、きっと超音波式ですね。超音波式加湿器の水に発生した雑菌が原因で昨年の冬も死者が出ていますよ。
くさ子 し、死者!?
戸井田 健康な人は大丈夫かもしれませんが、高齢者や赤ちゃんなど抵抗力が弱い人にとっては、肺に菌が入ると非常に危険なんです。だから大手メーカーは超音波式は製造していません。
くさ子 知りませんでした。ショックです。
赤ちゃんがいるなら「気化式」加湿機がおすすめ【パナソニック・ダイニチ】
戸井田 大手メーカーが製造している製品の多くは気化式。気化式(ヒーターレスファン式)は、簡単に言うとフィルターを濡らしてファンで風を当てて自然蒸発させるという方式です。それにヒーターを併用し温風にして、より早く蒸発を促すのがハイブリッド式(温風気化式)。メリットは電気代が安く抑えられること。ヒーター付きは若干高くなりますが、気化式全般、長時間加湿したい人に向いています。短所は、じわじわ加湿させるので潤うまでの時間が長い。蒸気のモクモクも見えず視覚的にも潤っている感は少ない。フィルターを洗うメンテナンスが必要。
ケチ美 基本的に家で仕事をしている私は電気代が安いのが一番です!
戸井田 であれば、おすすめはパナソニックの「ヒーターレス気化加湿機」。省エネを考えた構造で、「フュージョン素材」というフィルターはカビが生えにくく、1日8時間の使用なら月1回押し洗いすればいい。約10年間使えるフィルターなので、ランニングコストも抑えられます。給水トレイは定期的にお手入れが必要ですが、凹凸が少なく拭きやすい設計。赤ちゃんがいるご家庭など24時間つけっぱなしにしたい場合にもおすすめ。
ケチ美 24時間つけっぱなしでも安く抑えられるのはありがたい。メンテナンスもこれくらいなら許容範囲かな。
くさ子 フィルターを月1回洗うのは私には無理ですね。
戸井田 よりメンテナンスが簡単な気化式は、ダイニチ「LX SERIES」。ダイニチは2018年まで加湿器シェア4年連続ナンバーワンというヒットメーカーです。フィルターはパナソニックと同じく、定期的な手入れは必要ですが、給水トレイに使い捨てカバーが付いており、ワンシーズンごとの使い捨てで清潔。交換用トレイカバーは3枚セットで1,500円です。気化式は、立ち上がりに時間かかることが弱点ですが、これはハイブリッドで最初だけヒーターで温め、湿度が安定するとヒーターを切るので、立ち上がりと省エネを両立させています。家庭用としては大きな、木造16〜20畳向けです。
くさ子 トレイが使い捨てという点は惹かれますね。1枚500円くらいなら全然あり。ただちょっと大きすぎるかな。

戸井田 スチーム式はお湯をわかして蒸気を出す方式。蒸気を送るファンが付いているものはスチームファン式と言います。スチーム式の長所は、水を加熱して蒸気にするので清潔性が高く、パワーがあって早く加湿できるという点。短所は、熱を使うので電気代が高い。お湯を沸かすので製品によっては熱くなる。万が一、倒してしまうと熱湯がこぼれることがあるので小さなお子さんがいるご家庭は不向きかもしれません。また、電気ポットのように内部にカルシウム、ミネラルがこびりつくのでクエン酸洗浄剤を入れるメンテナンスが必要になります。
くさ子 洗浄剤を入れるだけだったら、忙しくてめんどくさがりな私にもできそう。
戸井田 スチーム式で人気があるのが象印の加湿器。しくみも形状もほぼ電気ポット。操作しやすくシニアにも人気です。立ち上がりが早くパワーがあるので、夜だけ寝室をすぐに加湿したいという人にも向いています。お湯を沸かすのでもちろん清潔です。
くさ子 これいい!!
ケチ美 でも電気代がなあ⋯⋯。寒がりで暖房代がかさむ分、加湿にはなるべくお金はかけたくない。加熱式で電気代控えめは難しいですか?
戸井田 スチーム式で電気代控えめなのは、三菱重工「roomist(ルーミスト)」のスチームファン蒸発式。ヒーターに蒸発布をかぶせ、その蒸発布が吸い上げた水を加熱します。象印と違ってタンクの水全体を加熱するわけではないので、比較的電気代を抑えられます。また、タンクの水は熱くならないので安全性も高い。清潔性とコスト、安全性を兼ね備えている点が人気です。ただし、蒸発布に水のミネラルが乾燥してこびりつくので、もみ洗いは必要。
くさ子 私は洗う系のメンテナンスは苦手〜。
ケチ美 それくらいは私は大丈夫かな。スチーム式の清潔さと省エネ、いいとこ取りなのはうれしい。

戸井田 超音波式は、水に超音波振動を与えてミストにする方式。長所は、水を振動させるだけなので消費電力が少なく機器自体も安い。メカが小さいので、デザインが美しいもの、小型のものが多い。ミストが出るので見た目も加湿されている感があるというところです。超音波式の代表格はアピックス「しずく」。手頃な価格でLEDライト、アロマが付いており、形もおしゃれ。若い方や短時間使いたいという人に人気です。水槽内の雑菌繁殖を防ぐ抗菌カートリッジが付いています。
くさ子 私が持っているのはこれです。デザインがカワイイですよね。
ケチ美 私も買おうかなと思ってました。加湿にライト、アロマと一石三鳥でお手頃。
戸井田 ただ、超音波式の短所は冒頭で言ったように、タンクの水をダイレクトに出すので水に雑菌があるとそれをばらまくことになります。この製品には抗菌カートリッジが付いていますが、使用後は必ず毎回お手入れが必要です。ネットや雑貨店でペットボトルを差すだけの加湿器も販売されていますが、あれもいくら水を毎日変えても、トレイに赤カビとぬめりが出てしまいます。フィルター付きの製品もありますが、そうすると機器自体が高くなりメンテナンスも大変になります。
くさ子 激安の超音波式をワンシーズンごとに使い捨てにしたらメンテナンス不要になりますか?
戸井田 いいえ。シーズン中も定期的なメンテナンスが必要です!
くさ子 そうなんですね⋯⋯。

戸井田 方式が決まったら「適用床面積」を確認。基本はジャストサイズを選んでください。大きすぎると過加湿で結露の原因になります。結露は窓だけでなく壁のなかにも発生しカビの原因に。また、給水法が簡単なことも意外と大事です。タンクが大きいとキッチンかお風呂場で給水しなければなりません。洗面所で給水できるタンクが浅めのタイプや、水差しで給水できるタイプが人気ですね。シャープ「プラズマクラスター加湿機」は「どっちも給水」といって、トレーを抜かずに本体の上から注ぐこともできます。ハイブリッド式で電気代も抑えめ、内部まで拭ける設計で、きれい好きな人にも向いています。
くさ子 加湿器がこんなにメンテナンスが必要と知りませんでした。加湿器全体的にハードルが高い。
戸井田 そうですね。加湿器にはトレー、フィルターなど掃除しなければいけないパーツがいくつかあるので、どれくらいのサイクルでどの程度メンテナンスしなければならないかは大きなチェックポイント。また、タンクの水は毎日捨てて新しくしなければなりません。余っているからといって継ぎ足して使っていると、水道水の塩素が薄まり消毒効果が落ち、ぬめりが出てくる。
くさ子 でも、面倒なんで足しちゃいますね。
戸井田 メンテナンスフリーでとことん衛生的にしたいなら、気化式のダイソン「加湿空気清浄機」8万円代! タンクに強力なUV-Cライトが付いており、水に直接照射して除菌。加湿フィルターには銀をより合わせた糸が織り込まれていて細菌の増殖を防ぎます。また、加湿フィルターの「洗浄機能」を搭載。給水タンクに加湿フィルターとクエン酸を入れてボタンを押すと、自動でフィルター洗浄をしてくれます。ほったらかし洗浄ができるのは、業界初ですね。かなり大きいけど。
ケチ美 8万円超え(笑)!
くさ子 高いけど、メンテナンスが限りなく手間が少なくなっているのは理想的だなあ。
戸井田 以上のように、加湿器はどのタイプもフィルターのメンテナンスが定期的に必要です。さらに、フィルターはシーズン終わりに洗ったあと、少しでも水分が残っていると梅雨や夏の間にカビが生えます。それをそのまま次のシーズン使うと菌をばらまくことになるので要注意です。こうしたことを踏まえて、あとはアロマ付きやデザインのお好みで選ぶといいいと思います。
ケチ美 デザインは一番最後。加湿器は衛生、安全が何より大切ということですね。
――次回は布団乾燥機の選び方を教えてもらいます! 
戸井田園子(といだ・そのこ)
家電コーディネーター。All about家電ガイド。大手プレハブメーカーでインテリアコーディネートを担当し、インテリア研究所を経て商品企画部へ。現在は、雑誌・新聞・テレビなどで活躍中。2020年5月17日に脳卒中のため死去。
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