仏大統領夫人とVOCE炎上に学ぶ「アラサー女の市場価値」
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よく言われることですが、日本人女性は海外に行くとけっこうモテます。アラサーどころか、アラフォーでもモテます。じつはいまフランスで人気の美容本には「日本人女子みたいになろう!」というものがあるぐらい。それぐらい海外からベンチマークされてるのです、日本人女子は。
それなのに、日本で日本人アラサー女性の受ける扱いときたらすごいもんです。VOCE炎上事件(※1)でも再確認された、日本人の「若い子好き」信仰。これが魅力的なアラサー女子をおばさん扱い、ディスってディスってやみません。
「男は普通の27歳と美人の33歳、どっちと付き合いたい?」
「アラサーのイタいファッション」
「35歳になると羊水が腐る」
ここまで女性に対する年齢信仰が幅を利かせているのは、なぜでしょう?
◆おフランスのマダム崇拝は幻想!?
ひるがえって、フランス。フランス史上最年少のイケメン大統領の奥様はなんと「25歳年上」女房……!フランスは日本とは違うわ、大統領夫人だって超年上女子じゃないの!マダム文化のフランス万歳!
……ところが、フランス人女性がいうにはフランス人男性だって年上女性がとくに好きというわけではないのだそう。当のフランス人女性が語るのはこんな感じ。
「フランス人男性も日本に負けずロリコンよ。若い子大好き。フレンチ・ロリータって言うでしょ」
でもフランス人のベテラン女優さんてみんなキレイですよね?カトリーヌ・ド・ヌーブとか。
「あれぐらい美人はどれだけ年とってもキレイなのよ。イザベル・アジャーニなんかは加齢を恐れて整形を繰り返したり、日焼けを恐れて暗い家に閉じこもったりしてるらしいわ。どれも個人差よ」
じゃあ、あの、大統領夫人がけっこう年上女房なのは……?
「たまたま彼が彼女に恋してそれを貫いた、ってだけでしょ。自分が好きになったら周りの評価なんか気にしないのはフランス人として誇りに思うけどね」
◆いくつだろうが誰とつきあおうが、ほっといて
彼女が言うには、日本と違うのは、個人主義のフランスのマダムは年齢がどうだろうが、それを取り上げてディスられることはありえないし、仮にそんなことされたら絶対に容赦しない、ディスった相手をやっつけるだろうということ。
「日本人だって、男性が周りの目を気にしなければ、年の差カップルいっぱいいるはずよ。セクシャルな対象はひとそれぞれなんだから。全員が20歳前後の小娘にしか萌えないってはずはないわ」
フランス人は自分の選択に正直な分、「若い子好き」も「年上女好き」も周りにはっきりわかってしまうだけだと。周りもそんなプライベートなことは取沙汰しないのでなんの問題もないのだそうです。
◆「うぶで若い」が好まれる生きづらさ
日本の年齢信仰に苦しんでいるのはじつは婚活市場のアラサー女性だけではありません。
転職市場などでは男女を問わず年齢が幅を利かせます。新卒採用されると幹部候補なのに、中途採用だといつまでたっても外人部隊扱いなど。私たちの社会は「うぶで若い」ということに特別の価値を見出すようです。
こう考えると、アラサーをディスってる側ももれなく同じように年齢で差別され、いらだっているということがわかりますよね。にしても、日本で魅力的なアラサー女子が年齢信仰でディスられているのは本当に残念。
年齢、条件といったことで問題が何も解決しないのは、このところの私たちの社会の停滞っぷりで明らかなのに、日本ではいまだに「市場」と名のつくところで「年齢」がものすごい力を持っているようです。
◆アラサー女子たちよ、自分で選べ。
一昔前まで「積極的に選ばない」人生が良しとされていました。
結婚はお見合いで選び、学校は偏差値で選び、会社選びもその延長線上でやっておけばよかった。転職なんて考えず、定年までがんばれば老後も安心。こうして親も周りも納得する、なんとなく居心地のいい人生にたどり着いていたんです。
ところが、ここ20年の間にこういった居心地のいい規定レールが腐食し始めた。
結婚は恋愛して、相手を選び勝ち取らなくてはならない。学校出ても会社に入れない。会社に入ってもスキルアップしてキャリアプランを練り続ける。3年ごとに転職を考える……お利口に待っていればきちんと選ばれ、幸せになれた時代は終わってしまったんです。
アラサー女子は、他人に惑わされずに自分で選べ!って言っていいですか。私たちの人生は降ってわいた「きっちりと選択をしないといけない人生」に右往左往しているんじゃないでしょうか。だったら、自分の勘と度胸で選んでいけばいいんだと思います。
ディスられている暇があれば自分でどんどん積極的に選択して生きていくほうがよっぽど幸せになれますよ。こんなに選択肢に恵まれた豊かな国ないんですから。アラサー女子がもっとわがままに選び放題すれば結婚相手だって生き方だってどんどん決まると思うんですけど。
※1 VOCE炎上事件(美容雑誌『VOCE』が「女の『市場価値』は30代で凋落する」といった主旨のツイートをして批判コメントが殺到したネット炎上事件)
ミッチェル朱美(みっちぇる あけみ)
米国人の父を持つバイリンガルハーフのアラサー女子。日本と海外を行き来して育ったため、日本のアラサー女子に向けてちょっと「引き」の目線からの恋愛コラムを書いている。「年齢・条件・タテマエ」を超えるほんとうの恋愛をしたいと自らも日本で婚活中。
それなのに、日本で日本人アラサー女性の受ける扱いときたらすごいもんです。VOCE炎上事件(※1)でも再確認された、日本人の「若い子好き」信仰。これが魅力的なアラサー女子をおばさん扱い、ディスってディスってやみません。
「男は普通の27歳と美人の33歳、どっちと付き合いたい?」
「アラサーのイタいファッション」
「35歳になると羊水が腐る」
ここまで女性に対する年齢信仰が幅を利かせているのは、なぜでしょう?
◆おフランスのマダム崇拝は幻想!?
ひるがえって、フランス。フランス史上最年少のイケメン大統領の奥様はなんと「25歳年上」女房……!フランスは日本とは違うわ、大統領夫人だって超年上女子じゃないの!マダム文化のフランス万歳!
……ところが、フランス人女性がいうにはフランス人男性だって年上女性がとくに好きというわけではないのだそう。当のフランス人女性が語るのはこんな感じ。
「フランス人男性も日本に負けずロリコンよ。若い子大好き。フレンチ・ロリータって言うでしょ」
でもフランス人のベテラン女優さんてみんなキレイですよね?カトリーヌ・ド・ヌーブとか。
「あれぐらい美人はどれだけ年とってもキレイなのよ。イザベル・アジャーニなんかは加齢を恐れて整形を繰り返したり、日焼けを恐れて暗い家に閉じこもったりしてるらしいわ。どれも個人差よ」
じゃあ、あの、大統領夫人がけっこう年上女房なのは……?
「たまたま彼が彼女に恋してそれを貫いた、ってだけでしょ。自分が好きになったら周りの評価なんか気にしないのはフランス人として誇りに思うけどね」
◆いくつだろうが誰とつきあおうが、ほっといて
彼女が言うには、日本と違うのは、個人主義のフランスのマダムは年齢がどうだろうが、それを取り上げてディスられることはありえないし、仮にそんなことされたら絶対に容赦しない、ディスった相手をやっつけるだろうということ。
「日本人だって、男性が周りの目を気にしなければ、年の差カップルいっぱいいるはずよ。セクシャルな対象はひとそれぞれなんだから。全員が20歳前後の小娘にしか萌えないってはずはないわ」
フランス人は自分の選択に正直な分、「若い子好き」も「年上女好き」も周りにはっきりわかってしまうだけだと。周りもそんなプライベートなことは取沙汰しないのでなんの問題もないのだそうです。
◆「うぶで若い」が好まれる生きづらさ
日本の年齢信仰に苦しんでいるのはじつは婚活市場のアラサー女性だけではありません。
転職市場などでは男女を問わず年齢が幅を利かせます。新卒採用されると幹部候補なのに、中途採用だといつまでたっても外人部隊扱いなど。私たちの社会は「うぶで若い」ということに特別の価値を見出すようです。
こう考えると、アラサーをディスってる側ももれなく同じように年齢で差別され、いらだっているということがわかりますよね。にしても、日本で魅力的なアラサー女子が年齢信仰でディスられているのは本当に残念。
年齢、条件といったことで問題が何も解決しないのは、このところの私たちの社会の停滞っぷりで明らかなのに、日本ではいまだに「市場」と名のつくところで「年齢」がものすごい力を持っているようです。
◆アラサー女子たちよ、自分で選べ。
一昔前まで「積極的に選ばない」人生が良しとされていました。
結婚はお見合いで選び、学校は偏差値で選び、会社選びもその延長線上でやっておけばよかった。転職なんて考えず、定年までがんばれば老後も安心。こうして親も周りも納得する、なんとなく居心地のいい人生にたどり着いていたんです。
ところが、ここ20年の間にこういった居心地のいい規定レールが腐食し始めた。
結婚は恋愛して、相手を選び勝ち取らなくてはならない。学校出ても会社に入れない。会社に入ってもスキルアップしてキャリアプランを練り続ける。3年ごとに転職を考える……お利口に待っていればきちんと選ばれ、幸せになれた時代は終わってしまったんです。
アラサー女子は、他人に惑わされずに自分で選べ!って言っていいですか。私たちの人生は降ってわいた「きっちりと選択をしないといけない人生」に右往左往しているんじゃないでしょうか。だったら、自分の勘と度胸で選んでいけばいいんだと思います。
ディスられている暇があれば自分でどんどん積極的に選択して生きていくほうがよっぽど幸せになれますよ。こんなに選択肢に恵まれた豊かな国ないんですから。アラサー女子がもっとわがままに選び放題すれば結婚相手だって生き方だってどんどん決まると思うんですけど。
※1 VOCE炎上事件(美容雑誌『VOCE』が「女の『市場価値』は30代で凋落する」といった主旨のツイートをして批判コメントが殺到したネット炎上事件)
ミッチェル朱美(みっちぇる あけみ)
米国人の父を持つバイリンガルハーフのアラサー女子。日本と海外を行き来して育ったため、日本のアラサー女子に向けてちょっと「引き」の目線からの恋愛コラムを書いている。「年齢・条件・タテマエ」を超えるほんとうの恋愛をしたいと自らも日本で婚活中。