小倉優子に見る「不安が強い人は受験に向いている」理由

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私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。
<今回の有名人>
「土地の値段、すごく上がってる?」小倉優子
『ぽかぽか』(10月2日 フジテレビ系)
 タレントの“ゆうこりん”こと小倉優子が最初の離婚を発表したのは2017年3月26日。私はその数日後、同30日配信の本連載にて、「ゆうこりんは案外理屈っぽいから、受験が向いているのではないか」「お子さんを名門小学校に合格させ、頭のいいお子さんを育てるママタレにシフトしたらどうか」と書いた。実際、ゆうこりんのお子さんは名門小学校に合格し、同じ学校を志望していた私の周囲のお受験ママは泣いて悔しがっていた。
 そして、18年の夏には、歯科医師の男性との交際が報じられたが、私は同年8月30日配信の記事で「新カレシは、あまり結婚向きではないように見える」とも書いていた。ゆうこりんは、その年のクリスマスに、歯科医師の男性と再婚を果たし、彼は初婚で彼女の子どもと養子縁組をした。しかし、20年3月、身重のゆうこりんを置いて家を出てしまったことが発覚。ゆうこりんは関係修復を望んでいたようだが、夫妻は長い別居生活を経て、22年7月に離婚した。
 お受験への適性や結婚のミスマッチというのは、ある程度長く生きている人間なら、容易に想像できる。が、まったく予想がつかなかったのが、ゆうこりん本人の大学受験挑戦だ。
 22年2月21日放送の『100%!アピールちゃん』(TBS系)において、大学受験への挑戦を発表したゆうこりん。第1志望は、早稲田大学教育学部。言わずとしれた難関校である。ゆうこりんは大学受験の経験がないので基礎学力に不安があるし、小さいお子さんが3人いて、仕事もしなければならない。絶対的に勉強時間が足りず、現役の受験生と比べたら、体力や集中力の点でも不利と言わざるを得ないだろう。しかし、ゆうこりんは頑張った。第1志望には届かなかったが、白百合女子大学への合格を果たし、4月から女子大生となったのだ。
 2度の離婚と3回の出産、そしてアラフォーにして初めての大学受験と、ゆうこりんの人生はなかなか波瀾万丈だ。今でこそ笑顔で、女子大生生活についてテレビで話しているものの、21年12月13日放送の『100%!アピールちゃん』では、ゆうこりんが親友・ギャル曽根に泣きながら電話したところ、真夜中に自転車で駆けつけてくれたこともあったと明かしていたから、私生活に関して、悩みに悩んでもがき苦しんだ日々もあったのだろう。ゆうこりん自身が、激動の人生に一番驚いているのかもしれない。

 が、ゆうこりんがVTR出演した10月2日放送『ぽかぽか』(フジテレビ系)を見ていると、彼女の人生が“激動”となった理由がわかったような気がした。
 同番組で、ゆうこりんはタレント・菊地亜美、野呂佳代と主婦タレント鼎談を行い、日々の生活について、大学のある日は朝4時に起きて自分の支度をし、お子さんを送り出して学校に向かうと話していた。また、児童文化学科に進んだゆうこりんに対し、菊地が「子どものことを勉強したくて、大学に入ったのか?」と尋ねると、「芸能界って、いつ仕事がなくなるかわからないから」と、大学受験挑戦の背景に、現在の仕事に対する不安があったことを告白。「芸能界以外の仕事もできるように」と、勉強が一種の“保険”であると語りつつ、「大人になってからの勉強って、楽しい」と付け加えた。
 いくら、いつ仕事がなくなるかがわからないのが不安と言っても、フツウの芸能人であれば、3人のお子さんを抱えて、大学受験に挑戦しようと思わないだろう。しかし、この不安の強さこそが、ゆうこりんのすべての行動の原動力となっているのではないか。
 不安が強いと、人は何らかの安定を得ることで心のバランスを取ろうとするもの。では、安定した生活を送るために必要不可欠なものといえば、やはりお金だろう。芸能人として売れれば大金が手に入るが、そうなれるのはごくごく一部のラッキーな人。運任せではなく、安定した収入を手に入れるためには、やはり高年収が約束された企業で働くことが近道で、そのためには高い学歴が必要といえる。
 つまり、受験に勝ち抜いて、名門校に合格することが、不安から脱却することにつながるわけだが、不安が強い人は、受験に向いているように思うのだ。というのも、ペーパーテストでいい点数を取るためには、自分の苦手な部分を徹底的に潰していくことが必要であり、不安が強い人は念には念を入れて、自分の弱点を失くすことを厭わないからだ。
 しかし、「自分の苦手分野を徹底的に攻略する」というやり方は、受験などのテスト勉強の際はプラスとなるが、人間関係では、自分のクビを絞めてしまう可能性がある。「あの人は〇〇を持っているのに、自分は持っていない」というように、他人と比べて「持っていないもの」をうじうじ考えてしまうこともあるからだ。
 ゆうこりんは『100%!アピールちゃん』において、ママ友と比べて、自分は学歴や教養がないことに引け目があるというような意味の発言をしていた。冷静に考えれば、ゆうこりんは10代の頃から芸能活動をしてきたわけだから、それは仕方のないことだし(今のように、芸能活動と学校を両立させる時代ではなかった)、ママ友の中には、ゆうこりんの経済力や知名度をうらやましがっている人もいるだろうから、お互い様だ。しかし、不安の強い人ほど、足りない部分ばかりに着目してしまう傾向があると思う。
 ゆうこりんは、初婚相手の美容師と別れた直後から、いろいろな番組で「恋愛はいいから、早く家族になりたい」と、子どものお父さんを求めているような発言をしており、再婚相手とも交際半年で再婚している。
 しかし、余計なお世話ながら、40歳過ぎまで独身でいた男性が、芸能人と結婚し、いきなり血のつながらない2人の子どものお父さんになることはそう簡単ではなく、もっと時間をかけて、関係性を築いていったほうがよかったのではないかと思う。
 なぜそうしなかったかというと、「お父さんがいないと、子どもたちがかわいそう」「お父さんがいないことで、不利なことが起きてしまうのではないか」と不安になったために、見切り発車で再婚を急いでしまったからではないだろうか。

 ここ10年のゆうこりんは、お子さんと自身の受験、結婚という、不安と相性のいい事柄を繰り返しているように見える。ただし、単なる不安の強い人でないところが、ゆうこりんの面白いところだ。
 『ぽかぽか』において、ゆうこりんは家を建てたばかりの菊地に「土地の値段、すごく上がってる?」など、土地の買い方や家の建て方について質問していた。明言はしなかったが、家を建てたいのではないだろうか。菊地の場合、結婚していて夫婦共働きなので、ローンを返済するときも「2人で返す」ことが理論上は可能であり、一馬力のゆうこりんは、菊地よりはるかに重い精神的、経済的な負担を背負うことになるといえる。加えて芸能人は収入が不安定なので、銀行がお金を貸したがらないという話を聞いたことがある。
 もしかしたらゆうこりんは、ローンなど組まなくてもいいくらいの貯えが、すでにあるのかもしれない。彼女は、仕事がいつなくなるかわからないと不安がる割に、1人で家を買うことには臆せず、積極的に打って出る。これがゆうこりんが単なる不安の強い人でないと思えるところだ。
 こうやって考えてみると、ゆうこりんって「あれがほしい」という欲望がもんのすごく強く、それを手に入れるため猛烈に努力し、だからこそ「こんなに頑張っているのに、手に入らなかったらどうしよう」と不安になってしまうのではないだろうか。不安の強さは、欲望の強さの裏返しともいえるわけだ。
 「私は芸能人ですけど、一般人のみなさんと一緒ですよ」と装う芸能人が多い中、ここまでギラギラした芸能人は稀有だろう。やっぱり、今後もゆうこりんから目を離せない。
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